借地権・底地の問題点と解決策

 ご両親から相続した土地に借地権が設定されていて、土地上に他人が住んでいた場合の土地所有権を「底地」といいます。私は借地権者から相談を受けるケースもあれば、底地権者から相談を受けるケースもあります。
 今回は借地権者・底地権者がどのような悩み(問題点)を抱えていて、どのような解決策があるのか考察したいと思います。

1. 土地所有者(地主)からみた底地の問題点

(ア) 借地権者からの土地の返還は見込めない(土地の活用を見込めない)

 借地権が設定されている土地は、基本的には返還してもらえることはほとんどありません。借地権は、借地権上に居住する方を保護するために借地権者有利な法整備になっており、正当事由※がないことには、地主は、契約の更新拒絶や契約解除が認められることはありません。なお、平成4年以降の法改正により、いわゆる定期借地権の要件を満たしている場合はこの限りではありません。
 ※ 正当事由:建物が旧耐震基準に基づく建物で、かつ倒壊危険性があり、地主が借地権者に立退料支払を申し出ている場合など

(イ) 地代が低廉であり、増額が困難

 地価は常に変動しており、国土交通省は毎年3月下旬に「地価公示」によって、その変動を明らかにしています。具体的には、不動産鑑定士に業務を委託し、毎年同じ地点を継続的に観測することで行われています。
 一方、地代は一度設定すると増額することは容易ではありません。借地権者からすると、地代の増額を認めると今後の支払地代額が増えるだけではなく、「地代増額を承諾した」という実績※が残り、その後も地代増額を主張する根拠を地主に与えてしまうため、借地権者にとっては不利になってしまうためです。このような法制度の検索が容易になった今、借地権者も地代増額を容認しなくなっています。
 ※ 貸主・借主の立場が継続する場合に交渉する地代を「継続地代」と言います。
この継続地代は、契約締結の経緯や契約内容等(「諸般の事情」といいます)のほか、直近の地代を合意した時点(「直近合意時点」といいます)から価格時点までの事情変更を勘案して決まります。つまり、貸主と借主が直近、いつ・いくらの地代で合意したか、そしてその時点からどのような経済的自由の変更、契約内容等の変更があったのかが基礎となります。つまり、地代増額を合意すると、号した地代が将来の地代交渉のスタートになってしまうのです。

(ウ) 更新料をもらっていないケースあり

 土地賃貸借契約書には契約期間と更新料を払う旨の記載があるのに、実際には更新料を受け取っていないケースが見受けられます。これは、土地賃貸借契約は親世代が締結して互いに子世代に相続により権利承継され、地代の支払いのみ行っていたが、契約書は双方が確認していなかったケースや、土地賃貸借契約後、貸主または借主が兄弟姉妹で共有することとなり、更新料の支払いを誰も言い出さなかったケースなどが挙げられます。

(エ) 土地所有者(底地権者)も借地権者も子の世代に代替わりしており、面識がない

 土地賃貸借契約の契約当事者が相続により代替わりすると、貸主・借主の関係は希薄化することが一般的です。そうなると、上記のような更新料の未払いが生じたり、借地権者が無断で建替えや増改築を行ってしまうことにより、係争事件に繋がるリスクが生じます。

(オ) 市場価値が低い

 底地は借地権者の存在により、自己利用ができないため、換金しようとしてもその市場価値は低くなります。

(カ) 担保価値が低い

 底地は市場価値が低いため、金融機関に融資を打診する場合の担保価値も低くなります。

2. 土地賃借人からみた借地権の問題点

(ア) 底地を第三者に売却される可能性あり

 地主と借地権者の双方が相続により子世代に承継され、関係が希薄すると、地主の子世代は、土地賃貸借契約を煩雑に考え、第三者に売却するケースがあります。

(イ) 建物の増改築・建替えなどに土地所有者(底地権者)の承諾を求める必要あり

 借地上に建築した建物、例えば自宅を増改築し、又は古くなったので建替えを検討する際、底地権者の承諾を求める必要があり、一般的には有償となります。相場は更地価格の3~5%程度といわれますが、都心部では地価が高騰しているため、その「更地価格」を巡って底地権者と借地権者で揉める、ケースが多くあります。

(ウ) 担保設定の際、金融機関より地主の承諾を要求される

 借地権の上に建物を建築するため、金融機関に融資を打診する際、金融機関は、借地権に担保価値を認めず、そのままでは融資が難しいというケースが多くあります。金融機関が借地権に担保設定するためには、底地権者から「担保設定同意書」又は「担保設定承諾書」という書面へ実印を押印してもらう必要がありますが、実印を求める以上、印鑑代を支払うことが商慣習からは一般的です。

(エ) 売却する際、土地所有者(底地権者)の承諾が必要

 借地権を売却する際には、底地権者の譲渡承諾を得る必要があります。その際、譲渡承諾料を授受することが一般的で、更地価格の10%前後を底地権者に要求されます。更地価格を巡って揉めることになるのは上記同様です。また、底地権者が押印してくれない場合は裁判所に「地主の承諾に代わる許可」を求めることになりますが、裁判所による許可決定がでるまでには、半年から1年以上かかることもあります。これでは、買主の立場を考えると、一旦売買金額に合意しても、地価変動によって判断が変わって逃げてしまうリスクがあります。

(オ) 名義変更の際、名義書換料を請求されることがある

 相続で相続人が借地権を承継する場合は、実は底地権者の承諾は不要なのですが、相続などで借地権者の名義が変わる際も、底地権者に名義書換料を請求されることがあります。

3. 底地の価値・借地権の価値について

 国税庁が財産評価基準書の路線価図において、借地権割合をアルファベットで明示しています(Aは90%、Bは80%、Cは70%と、アルファベットが進む都度、借地権割合は10%ずつ低減すると思ってみてください)。そして、よく借地権者の方は、「私の家は借地権割合がC(70%)で、相場は坪100万円だから、私の借地権割合は坪70万円だ」と考えられている方がいます。また、一方で、底地権者の方は「借地権割合がC(70%)だから、底地の価値は30%だ」と考えられる方がいます。
 しかし、例えば借地権者と底地の方の関係が悪いため、借地権者の方が借地権を第三者(例えば不動産業者)に売却する場合、更地価格の70%では売れません。なぜならば、借地権を購入する第三者は上記のような不自由を承知のうえで売買金額を検討するからです。また同様に、底地も30%では売れません。底地を購入しても借地権者の存在がある限り、土地を自由に利用することはできず、低廉な地代収受権があるに留まるからです。
 つまり、借地権価格+底地価格≦更地価格 となるのです。

4. 底地・借地関係の解消方法について

 上記のような不自由が多い借地権・底地は、子供や孫に承継する前に何とか解消しておきたいものです。その解消方法は以下のとおりです。

(ア) 借地権者・底地権者が契約の相手方に売却

 借地権者・底地権者間でご自身の権利を相手方に買い取ってもらうように交渉する方法です。上記により、借地権又は底地を第三者が購入する場合は高い提示額を期待できませんので、こちらが最も高い価格が期待できます。実際に建物を利用しているのは借地権者になりますので、実務では、底地権者が借地権者に買取りを持ち掛ける現場が多くみられます(逆に底地権者はもともとその土地を利用していなかったので、買取りの必要性がないケースもあります)。

(イ) 底地と借地権を同時売却

 底地権者・借地権者の相互に資金力がなく、又は関係性が良くない場合で借地権者も建物を利用しなくて良い状況の場合は、第三者(不動産業者等)への同時売却という方法もあります。底地と借地権を同時に買い取る場合、一定の売買条件(借地権と底地の「一体不可分契約」といいます)の下で契約を進めますので、買主は不動産業者等になり、更地相場よりは若干低くなることが多いです。

(ウ) 借地権と底地を一部交換

 借地権及び底地の対象となる土地が広い場合は、土地の借地権の一部と底地の一部を交換するという方法もあります。ただし、現実的にはその交渉には不動産鑑定士を雇用した上での緻密な交渉が必要になり、かなり難易度の高い交渉になります。

(エ) 借地権・底地買取り業者へ売却

 借地権者・底地権者相互に交渉が難しい状況であるときは、専門業者への売却という方法もあります。

5. 弊社サービスについて

 弊社にご相談頂けましたら、ご依頼者様のご要望に沿って解決策をご提示させて頂き、ご納得頂ければ、借地権者・底地権者の方々へ交渉させて頂きます。
 初回面談は無料ですので、お問い合わせにつきましては、右カッコ内のお問い合わせフォームのリンク(お問い合わせ | 西武不動産鑑定 株式会社)または 03-4500-6270 にてお電話ください。

 

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以 上